映画『君の膵臓をたべたい』

暑い。とにかく暑い。夏嫌い。死にたい。いや、死にたくない。出来るかぎり長生きしたい…。最近は少し涼しくなってきた気もするけど暑がりの私にとってはまだ暑い。
それにしても、なんでこう暑くなると無性に焼肉が食べたくなるのだろうか。暑いのに焼肉が食べたい。ガンガンに冷房が効いた店で焼肉を頬張りたい。特にホルモンね。友達とワイワイやりながら七輪の上でコロコロ焼いてビール片手に食べたい。あぁホルモンが食べたい。

そんなホルモン欲求を抑えつつ、一人ぼっちで映画『君の膵臓をたべたい』を冷房が効いた映画館でウーロン茶片手に観てきました。
【作品詳細】
タイトルとストーリーのギャップで話題を集めた住野よるの同名ベストセラー小説を実写映画化した青春ドラマ。高校時代のクラスメイト・山内桜良の言葉をきっかけに教師となった“僕”は、教え子の栗山と話すうちに、桜良と過ごした数カ月間の思い出をよみがえらせていく。高校時代の“僕”は、膵臓の病を抱える桜良の秘密の闘病日記を見つけたことをきっかけに、桜良と一緒に過ごすようになる。そして桜良の死から12年後、彼女の親友だった恭子もまた、結婚を目前に控え、桜良と過ごした日々を思い出していた。大人になった“僕”役を小栗旬、恭子役を北川景子がそれぞれ演じる。「黒崎くんの言いなりになんてならない」などの新鋭・月川翔監督がメガホンをとり、「ホットロード」「アオハライド」など青春映画に定評のある吉田智子が脚本を担当。(本編/115分 2017年 日本 配給:東宝)


「君の膵臓を“食べたい”」と言われたら…震えるよね。フェチとか性的嗜好とかのレベルじゃない。例え死んだあとでもそれは犯罪ですよね。たぶん。
住野よるさんの原作のときから既にこのタイトルは話題になっていました。タイトルの文字面だけ見れば完全にアブナイやつですが、『君の膵臓をたべたい』は決してそんなホラーでもスプラッターでもカニバリズム的な作品ではなく、とても素敵な「恋」の物語。
素敵な「恋」の物語とかって書いちゃってる自分が気持ち悪い。でも本当にそうなんです。メチャクチャ良かったんですよ!!

オジさん、一人で号泣しちゃったんですよ!!

この映画を簡単に言えば、日本映画が大好きな“泣ける”「余命もの」です。私は“泣ける映画”=“良い映画”だとは思っていません。むしろ無駄に泣き所を作る映画には嫌悪感さえ感じます。そんな映画を何作も観てきたし、むしろそうゆう無駄な泣き所を無理矢理入れてる作品の方が多いように思います。

「余命もの」で私が今、真っ先に思い浮かぶのは昨年公開された中野量太監督、宮沢りえさん主演の『湯を沸かすほどの熱い愛』です。

この映画、私の人生ベスト映画なんです。“泣ける”映画が良い映画だとは思わないけどこの映画には泣かされました。残された時間(余命)が少ないことを知った母親と娘の物語で、これだけ聞けばよくある話ではあるのですが、この映画はその軸から派生する展開がとても素晴らしいのです。とにかくこれは観てもらいたいのでBlu-ray、DVDなど買って是非ご鑑賞ください。

「余命もの」映画でも単純な脚本ではなく、作り込んだ脚本なら素晴らしいものになる。当たり前なことなんですが、なぜか『余命◯ヶ月の◯◯』のように「そのままやん!」とツッコミたくなるような作品が多いのも事実。
そんな中、『君の肝臓をたべたい』は『湯を沸かすほどの熱い愛』に続く素晴らしい「余命もの」映画でした。

※ここからネタバレ入ります。

膵臓の病気を患い、自分の余命が少ないことを知っている桜良。彼女は自分の病気を受け入れ、覚悟もし、まわりにはその事実を隠しながら明るく元気に振舞っている。
桜良を演じるのは浜辺美波さん。実写テレビドラマ版『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。』でめんま役を演じた子です。主人公の桜良役に彼女をキャスティングした時点でこの映画は勝ちです。病気と闘いながらも無邪気に明るく、強い心を持った桜良を完璧に演じていたし、何より透明感、てゆーか…

メチャクチャ可愛い!!

こんな子がいたら人気者になるし守りたくなっちゃうよ。

そんな桜良の病気のことを偶然知ってしまう“僕”。学生時代の“僕”を北村匠海さん、大人になった“僕”を小栗旬さんが演じています。
“僕”は人と関わることを避けている。そんな“僕”は桜良の秘密を知ったことで彼女に振り回される。はじめは桜良のことを疎ましく思い心をを開かないのだが、彼女と距離が近くなるほど大切は存在になっていく。

はい。ここまではよくある話。この後も桜良の親友や元彼などとのゴタゴタがあったりしますがここまでは完全な青春胸キュン映画です。
この映画はここから一気に動き出します。ネタバレ入ります。大事なことなのでもう一度言います。

ネタバレ入ります!!

容体が悪化する桜良。心配した“僕”は夜の病院に忍び込み、桜良と退院したら季節外れの桜を観に行こうと約束します。私は「観れずに死んじゃうのか…」と思いながら観てましたが…

桜良、退院します!!

元気になって退院します。病気が治ったわけではないのですが病状が落ち着いたこともあり退院が許されます。そして桜良と“僕”は約束の桜を観に行くため待ち合わせます。待ち合わせ場所は二人が最初にデートをしたスイーツパラダイス。スイパラってのがまた高校生ぽくて良いんですよね。オジさんは一度も行ったことないよ…。

“僕”は待ちながら桜良に送るメールを作ります。そこには桜良に対する思いが綴られています。出会えたことの喜び、感謝、そして桜良への憧れ。たくさんいろんなことを書いたけど、結局送ったのはたった一言「君の肝臓をたべたい」。
桜良は以前“僕”に「私が死んだら私の膵臓を食べてよ」と言っていた。亡くなった人を食べる風習があった地域文化があり、内臓を食べることで食べられた人の魂は食べた人の中で生き続けると言われていたからだ。
ここでこの映画の特報をもう一度観てください。「ラスト、きっとこのタイトルに涙する。」覚えておいてください。

元気に家を飛び出した桜良。しかし、どれだけ待っても“僕”の前には現れない。桜良は待ち合わせ場所に向かう途中、通り魔に殺されていたのだ。
桜良は死んじゃったのです。

通り魔に殺されたんです!!

膵臓の病気を患い、死も覚悟して一生懸命生きていたのに最期は通り魔に殺されてしまったのです。
桜良の死を受け入れることができず家に引きこもる“僕”。意を決して桜良の家に向かう。「共病文庫」と書かれた闘病日記には「私が死んだらこの日記を見に来る人がいるから見せて」と。泣き崩れる“僕”。そして私も完全に涙腺崩壊です。

時が経ち、桜良に「むいてる」と言われた教師になり、桜良と共に過ごした母校に勤務している“僕”。しかし、生徒と向き合うことができず教師とゆう仕事に限界を感じていた。
かつて桜良と整理した図書館が取り壊されることになりその本の整理を任される。生徒と共に整理をしているとき、桜良の残した二通の手紙を見つける。
一通は親友の恭子へ。そこにはずっと黙っていた自分の病気のこと。親友である恭子には“僕”とも友達になってほしいことなどが綴られている。そして「幸せになって」とも。
“僕”が手紙を見つけた日は恭子と学生時代の友人ガム君の結婚式当日。結婚式の招待状を返信できずにいた“僕”はその手紙を急いで届ける。手紙を読み泣き崩れる恭子に“僕”は「友達になってください」と。桜良に言われ、いつか恭子と友達になるときのために練習させられていた言葉。
人と関わることを避けてきた“僕”が初めて自ら人に歩み寄った瞬間。「言わされていた言葉」が「言いたい言葉」に変わる。桜良の思いが“僕”と恭子に届く。

そしてもう一通の手紙、それは“僕”に宛てたもの。そこには桜良が“僕”と出会えたことへの喜び、感謝、そして“僕”への憧れが。それはあの日、桜良が通り魔に殺された日に“僕”が桜良に送ろうとしていたメッセージと同じ思いが綴られている。タイプの全く違う二人だったけど、同じ思いで惹かれあい出会うべくして出会っていた。
二人の出会いを「偶然」だと言う“僕”に桜良は言っていた。

「私たちは皆、自分で選んでここに来たの。偶然じゃない。運命なんかでもない。君が今まで選んできた選択と、私が今までしてきた選択が私たちを会わせたの。私たちは自分の意思で出会ったんだよ」

そして手紙の最後に書かれていのは、

「君の膵臓がたべたい」

「君の膵臓“を”たべたい」じゃないんです。「君の膵臓“が”たべたい」なんです。これだけで桜良の“僕”に対する思いが伝わる。
誰かの中で生き続けたいんじゃない。“僕”になりたい、“僕”と生きていたかったんだ。
桜良は短い命とわかりながら覚悟して生きていた。でも、その短い命すらも突然奪われた。どれだけ一生懸命生きてもいつどこで何があるかわからない。だからこそ生きていられる今がとても大切なものなんだと、この映画の発するメッセージはとても大きく深いものがあります。

商業映画としては個人的には今年一の作品だと思います。間違いなくアカデミー賞候補作品でしょう。浜辺美波さんは主演女優賞候補にも選ばれるのではないかと思います。小栗旬さん、北村匠海さんも素晴らしいです。
ただの「余命もの」映画ではありません。本当に素晴らしい作品であり、色々考えさせられる映画です。
拍手!!!

『後悔と反省の狭間で』

なんとなく思ったことを、ただなんとなく書いています。映画や舞台が好きなのでそのあたりの記事が多めになります。

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