舞台『野生児童「純惑ノ詩」』

恵比寿に住んで早10年以上が経つ。「恵比寿」への憧れと勢いのまま住んでみたはいいものの、あまり自分のライフワークに合った街ではないことに最近気づきはじめてしまった。
普段、自分はどの街にいることが多いのか。仕事は主に渋谷が多い。映画を観るのは新宿が多い。舞台を観に行くのは三軒茶屋とか下北沢。呑みに行くのは恵比寿が多いけど、中野、阿佐ヶ谷、高円寺など中央線沿いで呑むことも多い。そもそも昔に比べたら酒をあまり呑まなくなったので“呑み”だけを考えても別に恵比寿に留まる理由もない。
もう引っ越そうかな。引っ越したいけどめんどくさい。めんどくさいけど引っ越したい。この繰り返し。まぁ言うてもめんどくさいが勝ってしまうのでまだしばらくは恵比寿にいるとは思うけど。

引っ越すとしたらどこに住みたいか。絶対に中野か下北沢が良いけど、中野に住んだらなんか人生終わる気がする。あんな魅力的な呑み屋が多い街に住んだら絶対に人生終わる。ワンカッパー、ダンボーラー、ブルーシーターな未来が見える。
じゃあ下北沢だ。下北沢は最高に楽しい街。美味しいカレー屋さん、雰囲気のある呑み屋さん、私好みな洋服屋さん(所謂「下北的洒落乙感」がわからない私にはネックでもある)、それになんと言っても小劇場が多くある。下北沢に住んだらもっといろんな劇団の舞台が観れそうだし、観たい。

一般的な方よりは演劇を観ている方だとは思うけど、まだまだ知らない劇団は山のようにあるし観てみたい舞台も多い。
先日も前から気になっていて一度観てみたいと思っていた“劇団鹿殺し”の劇団員でもある有田杏子さん主宰の劇団“野生児童”の舞台『純惑ノ詩』を下北沢、小劇場B1で観劇してきました。
【作品詳細】
怪談話として有名な四代目鶴屋南北原作の「東海道四谷怪談」を、基になった事件に新しい解釈を加えて再構築!
上演から200年。今もなお映画や舞台にリメイクされる今作。
本当にただの怪談話だったのだろうか?
演出に須貝英氏をお招きし、野生児童がお送りする古典再構築シリーズvol.2『純惑ノ詩』。

【脚本】有田杏子
【演出】須貝英
【出演】有田杏子、齊藤陽介、市川大貴、岸田エリ子、櫻井竜、荻窪えき、オザワミツグ、他
(上演時間/約130分)

私、“劇団鹿殺し”をもう10年以上観てきてるのですが、鹿殺しの劇団員さんたちって本当に素晴らしいのですよ。本作の「野生児童」の主宰である有田杏子さんももちろん。むしろ、有田杏子さん脚本の舞台が観たくてチケットを取った感があります。なのでアンケートの観劇理由の選択欄に「出演者のファン」がなかったことに少し疑問もありました。笑

『純惑ノ詩』素晴らしい舞台でした。誰もが一度はどこかで見聞きしたことがあるであろう古典の名作を現代版に置き換えてアレンジ。
誰かを思う気持ちが「純粋」であればあるほど傷つくことも多く、ふとした時の「誘惑」に負け様々な「思惑」を企てる。「純」な気持ちと「惑」な思いは決して交わることはないけれど、常に隣り合わせのように近くにある。
何十年、何百年と人はそうやって生きてきた。

名作古典の世界を限られた空間である小劇場で表現することはとても難しいものがあると思いますが、『純惑ノ詩』では確実に四谷怪談の世界が広がっていたと思います。
若干、クライマックスの脚本が駆け足気味で詰め込み過ぎてるかなとは思ったけど、有田さんの脚本も須貝さんの演出もとても素晴らしかったなぁと思います。
てゆーか、小劇場界隈にはやっぱりこれだけ凄い人たちがいる。こうゆう人たちをもっとエンターテイメントの世界で上に上げていかないとダメなんだと改めて思いました。

小劇場などで上演される舞台とかって、演じる人たちの自己満で完結してるような何が観せたいのかわからない作品が多いのも事実。舞台を初めて観劇する人がそうゆう舞台を観て「つまらない」と思うことも多々あるし、そう思ってしまう気持ちもわかる。
ただ、この『野生児童』の作品のように本当に素晴らしい舞台もたくさんあるので、一度観た作品が残念なものだったとしても騙されたと思って機会があれば観に行ってほしい。絶対に素敵な観劇体験が出来ると思うから。

『後悔と反省の狭間で』

なんとなく思ったことを、ただなんとなく書いています。映画や舞台が好きなのでそのあたりの記事が多めになります。

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